小児矯正歯科
歯列不正の子供は増えています
私は大府市内の保育園で園医をしています。
保育園の健診での印象は、以前に比べむし歯は減少していますが、乳歯の歯列不正やかみ合わせの異常、将来明らかに歯列不正になると思われる乳歯の歯並びが目立つことです。
歯列不正の原因と思われることは、
現代、我が国の子供は歯が大型化しあごが小さくなる傾向にあるといわれています。
これを放置すると前歯が重なったり、奥歯が歪んで生えたり、八重歯になり易くなります(叢生)。
これは、乳幼児期の栄養のよさ(永久歯の大型化)と柔らかい加工食品の摂取(あごが小さくなる)が原因と考えられています。
異常な習癖(指しゃぶり、唇をかむ、のみ込む時に舌を出す、頬杖等)やむし歯で崩壊した乳歯も歯列不正の原因になります。(のみ込む時に舌が出る習癖は、柔らかすぎる離乳食摂取が正常な嚥下の習得の妨げになっているのではないかと考えられています。)
どうすればよいか
健診で指摘されたり歯並びやかみ合わせがおかしいと思われたら放置せずにご相談ください。
お子様の現在の状態、将来予想されることについて具体的に説明させていただきます。
治療するかどうかはそのあと検討すればよいといます。
治療
悪い習癖があれば、難しいですが早急にやめるよう工夫することです。
年齢が上がるにつれてその習癖が残っていると歯列不正が目立つようになります。歯並び、かみ合わせを治療しても後戻りの原因になります。
治りにくい習癖をトレーニングで治す方法をMFT(口腔筋機能療法)といいます。
矯正治療はほとんどの場合器具を使用しますがMFTを併用することでより後戻りの少ない治療結果が得られると思います。
治療方法
咬合誘導ー下前歯(永久歯)の軽度叢生は将来生え換わる小臼歯が乳臼歯より小さいのを利用する(乳歯を削って隙間を作る)方法(矯正装置は使わず経過を見ること)がありますが歯の萌出状態がよくないとこの方法を使うことはできません。
装置を使うー多くの不正咬合は上下または片側の歯のスペース不足が原因の場多いのであごを拡大したり歯を移動させる装置を使う必要があります(自費治療になります)。
上下拡大床装置を入れています
- 治療の目的
乳歯列期から混合歯列期(乳歯と永久歯が混ざっている歯並び)では上下顎骨の発育を促進することにより歯並びやかみ合わせを改善できます。これはあごの幅を特別大きくしたりすることではなく正常な位置に歯が並ぶようにするために顎骨の成長を促進することです(顎顔面矯正治療)。
小児矯正の目的は上下顎骨の成長を正しい方向へ向かわせることで歯並び、かみ合わせを改善することです。
多くの場合、成長の終わった成人の矯正治療と少し異なる方法で治療します。
治療の時期
骨の成長を利用するのですから治療は可能なら4~5歳から始めたほうが良い結果が得られることが多いと考えられます(特に乳歯の受け口は早期に治療を始めるべきです) 。
判断に迷い様子を見ることが多いですが、少なくとも下の前歯が生え換わりスペース不足が疑われる場合は受診されたほうがよいと思います。
小児から治療を始めて顎骨が改善しても状態によっては更なる矯正治療が必要になることがあります(二期治療)これは成人の矯正治療に準じたものになります。
治療が終わりました